シャドーITとは?問題点やリスク、対策方法を解説
2025年09月24日
シャドーITとは?問題点やリスク、企業がとるべき対策を解説

近年、社内業務のDXが進み、さらにデジタルデバイスの発達やリモートワークの一般化で、「シャドーIT」が問題になっています。
従業員にとってシャドーITは、業務を円滑にするために何気なく利用していることかもしれません。しかし、セキュリティに関するさまざまなリスクが潜んでいるため、企業としては対策が必要です。
そこで今回は、シャドーITが抱えるリスクや発生する理由のほか、企業がとるべき対策を解説します。
問題視されるシャドーIT
シャドーITとは、企業内で情報システム部門などが関知せず、従業員や部門が独自に導入したIT機器やシステムなどを指します。シャドーITが起きやすいものには、私物のスマートフォンやPCのほか、チャットツールやフリーメール、クラウドストレージなどがあります。いずれもプライベートでもよく使われており、従業員が特に意識せず使ってしまいやすいものといえるでしょう。
シャドーITには、企業側で適切に資産管理されていないIT機器やシステムを使用することで、セキュリティの脆弱性につながるという問題があります。
近年はリモートワークが一般化し、企業の管理が及ばない状況で業務を行う機会が増え、シャドーITがより問題視されるようになってきました。
BYODとの違い
社員が独自に導入したIT機器を利用することとして、シャドーITと似た言葉に「BYOD(Bring Your Own Device)」があります。BYODとは、従業員が自身のPCやスマートフォンなどのデバイスを業務に利用することで、「私的デバイスを持ち込む」という意味があります。
企業にとってはそれらのデバイスの費用を抑えることができ、従業員にとっても使い慣れた機器で業務ができる点はメリットです。
シャドーITとの大きな違いは、「企業が認知しているデバイスかどうか」というところにあります。全従業員の利用するデバイスを把握し、運用管理するのは簡単ではありませんが、企業の関知しないところで私的なデバイスやシステムを利用されるよりは、ずっと安全だといえるでしょう。
シャドーITの具体例
シャドーITにはさまざまな形態があります。以下のような行為はシャドーITでよくある例ですが、従業員にとっては利便性の高い選択肢である反面、企業にとっては大きなリスクとなりかねません。
・チャットツールの個人利用
LINEなど企業で許可されていないコミュニケーションツールを使って業務連絡を行うケース。情報管理ができずリスクが高まる。
・フリーメールの使用
GmailやYahoo!メールなどの個人アカウントで業務メールを送受信することで、情報が企業の管理外に出るおそれがある。
・クラウドストレージの無断利用
Google DriveやDropboxなどのクラウドサービスに業務データを保存すると、アクセス権限の管理ができず情報漏洩のリスクが高まる。
シャドーITのリスク

シャドーITには、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。具体的なリスクについて紹介します。
情報漏洩
シャドーITで最も起こりうるリスクとして、情報漏洩があります。例えば、従業員が意図せずとも、業務で利用するチャットツールを未承認の自身のスマートフォンで利用しており、それを紛失もしくは盗難に遭うことがあれば、情報漏洩の可能性は高まるでしょう。
また、セキュリティ対策が万全でない自身のPCで業務用のアプリやストレージを利用しており、ウイルス感染したりハッキングされたりすることなども、情報漏洩につながります。
不正アクセス
リモートワーク中に、カフェなどでフリーWi-Fiにつなぐことがあるかもしれません。フリーWi-Fiは暗号化されておらず、利用して社内システムなどにアクセスすれば、第三者の不正アクセスを招くリスクがあります。
本物と同じSSIDを利用し、フリーWi-Fiのふりをした「なりすましアクセスポイント」なども存在しているため、注意が必要です。
不正アクセスについては、以下の記事もご覧ください。
ウイルス感染
私物のスマートフォンやPCといったデバイスを企業のネットワークにつなぐことにより、企業ネットワーク全体が脅威にさらされかねません。仮に、個人のデバイスがマルウェアなどに感染していた場合、知らずに企業のLANなどに接続すれば、そこから感染が広がる可能性があります。
接続している社内の機器にも感染がおよび、データの窃取や破壊などにつながるリスクがあります。
アカウント乗っ取り
私用で利用するサービスでは、あまりセキュリティを意識せず、IDやパスワードを使い回している人も多くいます。チャットツールやフリーメールのアカウント情報が流出すれば、アカウントの乗っ取りに遭う可能性があります。
業務上のやりとりや機密情報などが流出すれば、重大なインシデントにつながるかもしれません。
シャドーITの事故事例

シャドーITによるリスクは理論上の話ではなく、実際に数多くの情報漏洩やシステム被害が報告されています。ここでは、過去に発生した代表的な事例を2つ紹介し、シャドーITが企業にもたらす危険性を具体的に見ていきます。
「宅ふぁいる便」の個人情報流出
2019年、大容量ファイル送信サービス「宅ふぁいる便」が不正アクセスを受け、約480万件の個人情報が流出する事件が発生しました。現会員のみならず退会した利用者のデータも流出し、被害判明直後からサービスは停止、以降復旧されていません。
事件の原因は、サービス側のセキュリティ要件が曖昧だった点が大きな問題でしたが、被害拡大の理由にはシャドーITが関係しています。
当時、宅ふぁいる便は大容量ファイル送信サービスとしては歴史があり、多くの人が利用していました。組織のIT部門が利用管理できないまま、業務データや個人情報の受け渡しに宅ふぁいる便を使うケースが多かったのです。そのため事件発生後も対応が遅れ、被害は大きく拡大しました。
この事件を契機に、「承認されていない外部のITサービス利用による情報漏洩リスク」が社会的に強く意識されるようになりました。
尼崎市のUSBメモリ紛失事件
尼崎市のUSBメモリ紛失事件とは、2022年に兵庫県尼崎市で発生した、個人情報入りのUSBメモリが紛失した事件です。委託先の社員が市役所サーバーから無断で全市民約46万人分の個人情報をUSBにコピーし、業務後に飲酒してカバンごと紛失したことで発生しました。
紛失したUSBメモリには市民約46万人分の氏名、住所、生年月日、生活保護受給世帯の口座情報などが含まれており、情報漏洩の危機が話題となりました。結果的にデータの流出は確認されませんでしたが、問題の本質は、私物に近い機器の使用が適切な管理手続きを経ていなかった点にあります。
組織として機密情報管理やUSBメモリの使用ルールが徹底されていれば、防げた可能性がある事故であり、IT資産の管理と利用状況の可視化の重要性を物語っています。
シャドーITはなぜ起きる?
シャドーITを防ぐためには、起きてしまう原因を知っておかなければなりません。ここではシャドーITが起きる主な原因を紹介しましょう。
ITコンシューマライゼーション
ITコンシューマライゼーションとは、「消費者向け製品が企業向けソリューションとして、ビジネスに浸透している状態」を指します。
消費者向けのデバイスやサービスが成長したことで、業務でも不都合なく利用できるようになりました。そのため、従業員が特に意識せず、自身のデバイスや使い慣れたサービスを利用するシャドーITが起きることがあります。
リモートワークの普及
リモートワークが普及したことにより、オフィス以外で働くことが一般的となりました。管理部門の目は行き届きにくくなり、従業員は業務に必要なツールやサービスを自身で駆使して業務にあたることが増えています。結果として、シャドーITが発生することも増えたといえるでしょう。
従業員ニーズ
「今よりいいものを使いたい」という従業員のニーズも、シャドーITが発生する理由です。企業から貸与されているデバイスや業務用アプリが使いづらい場合、スムーズに業務が遂行できるものを使いたいと思うのは自然なことかもしれません。
近年は一般向けでも、高性能かつ無料で利用できるアプリやシステムが増えており、シャドーITが起きる原因のひとつになっています。
企業がとるべきシャドーIT対策

シャドーITには重大なリスクが潜んでおり、企業としてはセキュリティ強化のための対策が必須です。ここでは、シャドーIT対策として、企業はどのようなことを行うべきか解説します。
シャドーITの把握
シャドーITの対策には、実態の把握が重要です。従業員への匿名アンケートなどで、企業が関知していないデバイスやシステムがどれだけ使われているのかを確認しましょう。併せて、なぜそれを使ってしまうのか、企業が導入しているツールやシステムにどういった不満があるのかを確かめてください。
ニーズを聞き出すとともに業務工程を洗い出して、どこでシャドーITが起きやすいのか探ることが重要です。
従業員教育
シャドーITの多くは、危険性を意識しないまま利用されています。シャドーITによってどのようなリスクがあるのか、何がシャドーITに該当するのか、従業員に認識してもらうことも大切です。
また、シャドーITだけでなく、セキュリティに対してのリテラシー教育や情報提供を行い、従業員のセキュリティ意識を高めていきましょう。
ガイドラインの策定
全面的に私物のデバイスやシステムの利用を禁止するのではなく、利用についてのガイドラインを策定することも、シャドーIT対策に有効です。どうしても利用する場合は、セキュリティ管理者に申告して許可を得るなど、私物のデバイスやシステムを利用する場合のフローを設け、BYODの状態を作りましょう。
企業側でどのように使用デバイスやシステムを管理するかといった、ガイドラインも必要です。
検知するシステムの導入と監視
クラウドサービスの利用状況を可視化するCASBや、社内のデバイスを一元管理し、私物デバイスの業務利用を制御するMDMといった、シャドーITを検知し、監視するシステムの導入も検討しましょう。
どれだけ使いやすいシステムを提供し、従業員教育を徹底しても、シャドーITが発生することはあります。シャドーITが起きることを前提に、アクセス権限の設定やログ監視などを行うことも重要です。
シャドーITを防ぐ環境の整備

シャドーITを未然に防ぐには、単に禁止したり監視を強化したりするだけでなく、従業員が安全かつ快適に業務を行える環境を整備することが重要です。ここでは、企業が取り組むべき環境整備の観点をご紹介します。
代替案の提示と柔軟なツール利用
業務上必要なツールを一方的に制限するだけでは、従業員が業務に支障を感じ、シャドーITに走ってしまうかもしれません。そうならないためには、公式に認可された代替ツールを提供し、その選定に柔軟性を持たせることが大切でしょう。
現場の要望をヒアリングしながら、業務に最適なツールを導入することで、利便性とセキュリティの両立が可能になります。
IT部門と業務部門の連携
現場のニーズを把握するには、IT部門と業務部門の密な連携が欠かせません。業務部門の実情を無視した一方的なIT施策では、現場が独自のツールを使い始め、シャドーITが拡大するリスクがあります。双方向のコミュニケーションを通じて、業務の実態に合ったIT運用方針を設計することが求められます。
定期的なリスク評価と情報共有
シャドーITのリスクは、社内外の環境変化によって常に変化します。そのため、定期的なリスク評価と情報共有を行い、現状の課題を洗い出して対策を見直す仕組みが必要です。
社内で利用されているすべてのIT資産を定期的に棚卸しし、未承認のツールが使われていないかチェックしましょう。
シャドーITを防止して、企業のセキュリティを万全に
個人向けデバイスやシステムの進化、リモートワークの普及などにより、シャドーITの発生が増えています。シャドーITにはセキュリティの重大なリスクがあり、企業としては対策が必須です。従業員のニーズを把握するとともに、従業員教育やガイドラインの策定などを行い、柔軟な対応をしてください。併せて、シャドーITが発生することを前提とした取り組みを行うことも重要でしょう。
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