OEMとは?製造の目的やメリット・デメリット解説
2025年01月29日
OEM とは?製造の目的やメリット・デメリット解説

OEM とは、メーカーが他社ブランドの製品を製造することや、それを受託するメーカーそのものを指します。アパレルや化粧品、家電、食品、自動車など、OEM によって製造されている製品はさまざまで、世界的に知名度の高いブランドを持つような大企業から個人事業主まで、幅広く利用されています。
今回は OEM の概要や、委託側と受託側それぞれのメリット・デメリットをご紹介しましょう。
他社ブランドを製造する OEM
OEM は Original Equipment Manufacturer(Manufacturing)の略であり、メーカーが他社からの依頼で製品を製造することや、他社ブランド製品の製造を請け負うメーカーそのものを指します。製造された製品は、OEM を発注した企業が受託された企業から仕入れ、自社のブランド名をつけて販売されます。
OEM には大きく分けて 2 種類あり、依頼をする企業(委託側)が製品の企画・開発を行い、製造工程のみを委託する OEM と、製造を行う企業(受託側)が商品を企画・開発して企業に売り込む OEM があります。また、近年では製造だけでなく、開発から製造までを一括して受託する OEM 企業も増えています。
ODM との違い
OEM と似たものとして、ODM(Original Design Manufacturer)があります。
どちらも委託された企業が他社ブランド製品を製造する点では同じですが、OEM の委託する範囲は製造工程のみで、製品の企画や設計などは委託側が行います。それに対して ODM の委託する範囲は、製造工程だけでなく、製品の企画や設計も含むものです。
ただし、前述のように、委託企業が企画や設計を行った上で製造を行う場合も出てきたため、最近では OEM と ODM の線引きがあいまいになってきました。
PB との違い
PB(Private Brand)は、小売業者や流通業者など、本来は自社で商品計画や製造をしない業態の企業が、製造業者に依頼し、独自に展開する商品のことです。スーパーやドラッグストアのブランド名で売られる PB 商品がその代表例でしょう。
OEM とよく似た仕組みですが、最近は製造業者へ依頼するだけでなく、自社で製造工場を保有したり、メーカーと共同開発したりと、PB はさまざまな方法で作られるようになっています。
OEM の委託側のメリット
OEM を活用することで、さまざまなメリットがあります。ここでは OEM を委託する側にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
過剰な在庫リスクが少ない
自社製造の場合、製造費用の回収のために大量生産せざるをえない場合があります。製造を外部に委託すれば、小規模での製造が可能となり、販売や在庫の状況によって発注する量を調整することも可能です。
必要以上の在庫を抱えるリスクを軽減でき、特に消費期限や賞味期限のある商品では大きなメリットです。
小資本で自社ブランドを持てる
OEM を委託すれば、自社で工場や製造設備を持つ必要がなく、少ない初期投資でブランド展開が可能です。設備は初期の設立コスト以外にも、メンテナンスなどのランニングコストも必要になるため、そういった費用がかからない点はメリットでしょう。
自社に知見のない製品を開発できる
自社で製造設備をもっている企業が、OEM を利用することで自社だけでは製造できなかった商品の開発が可能です。設備のほか、専門知識や技術がなくても、受託企業の力を借りて製品を開発できます。
コア業務に注力できる
OEM で開発や製造を委託することで、製造に自社のコストやリソースを割く必要がなくなります。前述のように設備費がかからないほか、人件費や人材採用、教育のコストもかかりません。その分、開発や企画、マーケティング、販売など、事業のコア業務に集中できます。
受託側のメリット

OEM は、受託する企業にもメリットがあります。受託側のメリットは、以下の 3 つが考えられます。
在庫を持たずに売上が出る
委託を受けて製造した商品は、基本的にすべて委託側企業に買い取ってもらえるため、製造した全量が売上になります。在庫管理の手間や過剰在庫、廃棄ロスなどのリスクがなく、利益が得られるというメリットがあります。
稼働率が向上する
自社の製造が少ないタイミングで OEM の製造を行えば、製造設備の稼働率を高めることができます。稼働率を向上させられれば、製造コストの削減や収益率向上が期待できるでしょう。
委託側のノウハウが得られる
委託された製品製造を通じて、委託側の業界知識や技術を吸収する機会があります。特に委託側企業が高度な知識や技術をもっている場合は、技術指導を受けることで受託側企業製造のノウハウが蓄積できるでしょう。培った技術によって、新たな受託先を開拓したり、自社の製品製造に活かしたりすることも可能です。
OEM の委託側デメリット
OEM には利点が多い一方で、課題も存在します。委託する場合は、デメリットを知った上で検討することが重要です。
自社の技術が育たない
以前の OEM での製造は、委託側が主導して行うことが一般的でした。しかし、最近では受託先が主導して製造を行うケースも増えており、その場合は製造工程を外部に依存するため、自社に技術力や製造力は育ちにくいという点はデメリットです。
受託先企業のノウハウを活用し、自社の技術力や知見も高められるような工夫が必要です。
綿密な打ち合わせが必要
OEM を委託するためには受託先との連携が重要であり、仕様のすり合わせや進捗確認に多くの時間を費やす場合があります。すべての要望を受け入れてもらえるとは限らないことにも注意が必要です。また、希望した仕上がりではない、製品に不備があるなどということになれば、何度も確認しなければならないでしょう。
OEM の目的や、希望する製品のクオリティなどを明確にしておき、それを叶えられる受託先を見つける必要があります。
受託先が競合になる可能性がある
受託先でも自社ブランドを持っている場合、将来的に似たような製品を開発して、競合企業になる可能性があります。また、同様の製品を他社にも提供して、競争が激化する可能性もあるでしょう。
希望するような製品を作ってもらえるかだけでなく、将来的な競合の可能性も考えた上で、どのような受託先を選ぶべきか検討してください。
受託側のデメリット
OEM は受託する側にも、押さえておきたい注意点があります。OEM を受託する側のデメリットを挙げてみます。
自社ブランドが育ちにくい
OEM でどれだけ高品質の製品を作れる技術を持っていたとしても、表に出るのは他社ブランドです。自社ブランドの認知度がアップしづらい点はデメリットといえるでしょう。
いずれ自社ブランドを売り出したい場合は、販売やマーケティングの戦略を十分に練る必要があります。
利益が委託元に左右される
製造量や取引条件が委託元の販売状況に依存するため、安定した利益を確保するのが難しい場合があります。受託量が増加すれば利益が大きくなりますが、何らかの理由で販売停止などが起きれば、受託量がゼロになってしまう可能性もあります。
OEM を受託する場合は、ひとつの企業に依存せず、複数の企業と取引することも検討してください。
OEM で生産される業界例
OEM は多くの業界で採用されており、それぞれの業界で独自の形態が見られます。以下で代表的な例をご紹介します。
化粧品業界
化粧品業界では、大規模な製造ラインや研究設備を持たない企業で OEM を利用することが多いです。化粧品業界では OEM を受託する企業も多く、自社ブランドの製造や販売を行っている有名企業が、OEM 事業を行っているケースもあります。
アパレル業界
アパレル業界では、トレンドの移り変わりに合わせて新しい製品を企画・開発する必要があり、製造については OEM を利用するケースが多いです。ブランドがデザインを行い、製造を OEM メーカーに任せる形態であり、大量生産を可能にするだけでなく、専門技術を活用して高品質な製品を短期間で製造できます。
食品製造業界
飲料や菓子類など、大量生産が必要な食品業界では、OEM が広く利用されています。特定ブランド向けの製品だけでなく、複数ブランド向けの製品を製造するメーカーも存在します。
自動車業界
自動車製造は、OEM が盛んに活用されている業界のひとつです。自動車を製造するためには多種多様な部品を多数使用するため、自社だけで製造するのは困難なため、部品の一部を OEM で製造しているケースがあります。OEM を利用することで部品一つひとつの研究開発コストを抑えられるメリットがあるでしょう。
OEM を活用して効率的な事業運営を
OEM は、委託側と受託側の双方にとって多くのメリットをもたらしますが、それぞれに課題も存在します。メリットを最大化し、デメリットを最小限に抑えるためには、信頼できるパートナーの選定と明確な契約内容が重要です。
また、ODM や PB との違いを理解し、自社のビジネス戦略に最適な形態を選択することが成功への近道となるでしょう。OEM を活用することで、効率的な事業運営と競争力のある製品展開が可能です。