NPS®とは?導入のメリットや上手に活用するポイントを解説

  • EC

2025年09月24日

NPS®とは?導入のメリットや上手に活用するポイントを解説

NPSは、企業やブランド、商品、サービスへの信頼や愛着を測る、「顧客ロイヤルティ」に関する指標です。NPSを活用すれば、顧客の満足度や推奨度を可視化し、企業の成長に役立てることができるでしょう。 この記事では、NPSを実施する手順と活用のポイントのほか、メリットや注意点などについて解説します。

NPSは顧客ロイヤルティを表す指標

NPSはNet Promoter Scoreの略称で、企業やブランド、商品、サービスへの信頼や愛着を示す「顧客ロイヤルティ」を数値化する指標です。2003年にフレデリック・F・ライクヘルド氏が提唱して以来、リピーターの獲得や口コミの活性化を目的としたマーケティング施策に広く活用されています。

NPSは売上との相関が強く、経営指標としても活用できる指標です。欧米では、売上の上位企業が積極的にNPSを導入しており、日本国内でもその重要性が注目されています。

NPSでできること

NPSを活用することで、単なる「顧客満足」では測れない顧客の本音を引き出し、企業やサービスの改善に役立てることが可能です。特に次のような活用が期待できるでしょう。

・顧客のロイヤルティ(継続利用意向や推薦意向)を可視化
・改善すべき点や強みを明確化し、製品・サービスの品質向上に活用
・他社と比較することで、自社の市場における立ち位置を把握

NPSが高いほど顧客のエンゲージメントも高くなりやすく、ポジティブな口コミや再購入につながる可能性が高まります。

eNPSとの違い

eNPS(Employee Net Promoter Score)はNPSと同じく推奨度を表す指標ですが、調査対象は「従業員」です。自社や職場をどれだけ他人にすすめたいと思うかを測る指標で、従業員エンゲージメントや職場へのロイヤルティを数値化します。 eNPSはApple社が顧客向けに行っていたNPSを従業員向けに転用したことで広まったとされています。推奨度を測定する指標という点ではNPSと同じですが、目的も用途も異なる点に注意が必要です。

NPSと混同しやすい指標

NPSには、数値化する対象が似ている、混同しやすい指標があります。ここでは混同しやすい指標について解説します。

NRS

NRS(Net Repeater Score)は、顧客の継続利用意向を把握するための指標です。「今後もその商品やサービスを継続的に利用したいか」を数値化する指標です。「1年後もこの商品を使い続けたいですか?」という質問に対して、5段階評価などで回答してもらい、「積極的に使い続けたい」人の割合から「継続したくない」人の割合を差し引いて算出します。 NRSは「自分自身が使い続けたいか」を測るのに対し、NPSは「他人に薦めたいか」を測るものであり、質問内容とロイヤルティを計る視点が異なります。

CES

CES(Customer Effort Score)は、顧客が製品やサービスの利用・購入において、「どれだけ手間やストレスを感じたか」を測る指標です。簡単に手続きできたか、問い合わせ対応がスムーズだったかなど、体験の手間にフォーカスしているため、顧客ロイヤルティ向上のために何を改善すべきかが把握できます。

顧客満足度(CS)

顧客満足度(Customer Satisfaction:CS)は、特定の製品やサービスに「満足したか」を評価するのに対し、NPSは「他人にすすめたいか」という視点で顧客のロイヤルティを測定します。CSは「過去の体験に対する評価」であり、NPSは「未来への期待や信頼」を表すのが大きな違いといえるでしょう。 サービスに満足しても他人にすすめるほどではないというケースもあるため、CSが高くてもNPSが低いことは珍しくありません。NPSは感情面や信頼感、ブランドへの忠誠心をより深く掘り下げることができる指標です。

NPSを測定する手順

NPSの測定はシンプルなプロセスですが、適切に行うことにより有用な結果が得られます。NPSの測定手順は下記のとおりです。

1.アンケートをとる目的を決める

まず、NPS調査を通じて何を達成したいのかを明確にします。例えば、「顧客ロイヤルティの全体的な状況を把握する」「サービスの改善点を特定する」といった目的が挙げられます。アンケートの設問や運用方針を定めやすくするため、目的は必ず明確にしてください。

2.アンケートの設問を決める

目的を定めたら、次はアンケートの設問を決めます。NPS調査の中心は「当社の商品・サービスを家族や友人に推薦したいと思いますか?」という質問です。 この質問には0(すすめられない)~10(強くすすめたい)で答えてもらいますが、その数値をつけた理由、回答者の属性などを回答してもらう設問も加える必要があります。そうした設問を設けることで、具体的な改善点を見つけるヒントが得られます。ただし、設問数はあまり多くなりすぎないようにすることが大切です。

3.適切なタイミングでアンケートを実施する

設問を決めたら、実際にアンケートを実施します。サービス利用直後や定期的なフォローアップ時など、適切なタイミングで実施することが大切です。 回答を収集したら、推奨度に応じて顧客を「推奨者」「中立者」「批判者」に分類し、NPSスコアを計算します。

4.アンケート結果を分析する

アンケートの結果が出たら、次は自由回答を含めて分析を行い、改善点や強化ポイントを特定します。アンケート結果の分析方法は、主に下記の3つです。

・頻出語分析

頻出語分析は、特定の文章におけるフレーズの出現数を算出し、頻出語を重要なテーマやキーワードとして把握する分析手法です。商品・サービスの具体的な名称のほか、頻出のフレーズがあれば、顧客の関心が高いテーマである可能性があります。

・共起ネットワーク

共起ネットワークは、特定のフレーズの出現頻度や、どのようなフレーズと使われているかを分析する方法です。例えば、「デザイン」「キレイ」といったフレーズが同時に使われているケースが多い場合、商品のデザインに対する評価が高いことがわかります。

・ポジティブ・ネガティブ分析

アンケート回答者が、商品・サービスに対する感情を分析する手法が、ポジティブ・ネガティブ分析です。アンケートの回答文に「使いやすい」「楽しい」といったフレーズが多ければ、商品・サービスをポジティブに評価しており、「遅い」「わかりにくい」といったフレーズがあれば、ネガティブな感情を持っているかもしれません。

NPSの計算方法

まず、「あなたはこの商品(またはサービス)を友人や同僚にすすめたいと思いますか?」という質問に対して、0〜10のスコアで顧客に回答してもらいます。そのスコアを以下の3つのグループに分類します。

・推奨者(Promoters):9〜10点

積極的に企業や製品を他人にすすめるロイヤルカスタマー。

・中立者(Passives):7〜8点

満足はしているが、他人にすすめるほどではない顧客。NPSの計算には含まれない。

・批判者(Detractors):0〜6点

不満を持っており、企業イメージを損なう可能性のある顧客。

これらを分類した上で、次の式に当てはめてスコアを算出します。

NPS(%)=推奨者の割合(%)−批判者の割合(%)

アンケート回答者100人中、推奨者が40人、批判者が20人の場合、「NPS=40%−20%=+20」というスコアになります。

NPSのスコアは「−100〜+100」の範囲で表示され、数値が高いほど顧客ロイヤルティが高いとされます。 なお、企業によっては、アンケート母数が少ない場合にスコアが大きくぶれる可能性があるため、一定のサンプル数を確保することが重要です。

NPSの考え方

NPSは単なるスコアではなく、その数字をどのように捉え、改善や比較に活用するかが重要です。ここでは、NPSを評価する際の3つの視点について解説します。

相対NPS

相対NPSとは、競合他社や業界平均と比較することで、自社のNPSの立ち位置を測る方法です。NPSは業種や商材によってスコアの出方が大きく異なるため、数値そのものだけで判断するのは適切ではありません。 ある業界の平均NPSが+10の中で、自社が+25だった場合、相対的に見て高評価と判断できます。相対NPSは、自社の競争力や顧客との関係性を市場全体の中でどう位置づけるかを知る上で有効です。

絶対NPS

絶対NPSとは、自社のNPSスコアの値そのものを評価する考え方です。一般的に、NPSが0を超えていれば顧客に一定のロイヤルティがあるとされ、+50を超えると非常に高いロイヤルティを持つとされています。

ただし、文化的背景や国民性によって点数の傾向は異なるとされ、日本ではスコアがマイナスになりやすいといわれています。絶対値だけで判断せず、改善の傾向を見ることが重要です。

自社にとってのNPSの目安

NPSの真の価値は、他社との比較や絶対的な評価ではなく、自社の過去のスコアとの比較や、顧客の声をもとに継続的な改善につなげる点にあります。たとえば、NPSが-10から+5へ改善された場合、それは大きな進歩です。

このように、自社の目標や改善活動の成果を測る「変化の指標」としてNPSを活用することで、持続的な成長と顧客満足の向上につなげることができます。

NPSのメリット

NPSには、自社の商品・サービスの推奨度がわかること以外にも、複数のメリットがあります。主なメリットは下記のとおりです。

導入のハードルが低い

NPSは、シンプルなアンケートによって測定でき、導入のハードルが低いことがメリットです。NPSを導入するにあたり、専用のシステムやツールは必要ありません。 NPSのアンケートはオンラインで実施するのが一般的ですが、設問と回答環境さ整っていれば、オフラインでも実施可能です。実施が容易なことから、NPSは企業規模や業界を問わず幅広く活用されています。

ブランド・商品・サービスの改善点がわかる

NPSを導入すると、アンケートを通じて顧客からの直接的なフィードバックを得ることができ、ブランド・商品・サービスの改善すべきポイントを特定しやすくなります。 回答の分析方法を工夫すれば、既存のブランド・商品・サービスの改善点だけでなく、新商材につながるヒントを得ることもできるでしょう。

指標が明確でわかりやすい

指標が明確でわかりやすい点も、NPSのメリットです。SNSやオンラインの口コミなどで商品・サービスがポジティブに評価されていたとしても、数値の裏付けがなければ、実際にどれだけ支持されているか明確に知ることはできません。 NPSは0~10点のスコアと、推奨者・中立者・批判者という3つの分類で結果が示されます。結果がシンプルなため、経営陣やチーム全体で課題を把握しやすくなります。

他社と比較すれば自社の評価がより明瞭になる

自社と他社のNPSを比較すれば、自社に対する顧客の評価がより明瞭になります。 自社と同業他社を比較する場合、会社の規模や売上高などが比較項目となるのが一般的です。しかし、NPSのアンケートに他社に対する推奨度を測る設問を加えれば、他社比較によって自社の評価が明瞭になります。設問の工夫で自社の商品・サービスの優位性も測れる点は、NPSのメリットです。

企業成長につなげやすい

NPSは、収益との関連性が高い指標です。そのため、アンケート結果に対し適切な改善策を打てば、企業成長につなげやすくなります。NPSを継続的に実施すれば、商品・サービスの品質が徐々に向上していくだけでなく、収益の安定化にもつながっていくでしょう。

NPSを活用する際の注意点

NPSは企業成長に役立つ指標ですが、活用する際にはいくつかの注意点があります。アンケート結果を正しく評価し、NPSを効果的に活用するためには、下記のような点を事前に理解することが大切です。

日本ではマイナス評価が出やすい

NPSを活用する際は、日本ではマイナス評価が出やすい点に注意してください。NPSは推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて計算しますが、日本では批判者の割合が高く、スコアがマイナスになりやすい傾向があるといわれています。 そのため、アンケート結果を分析する際は、数値をただ受け止めるのではなく、過去のスコアや業界の基準と比較するといった工夫が大切です。

実施するタイミングによって結果が変動しやすい

アンケートを実施するタイミングによって結果が変動しやすい点も、NPSの注意点です。顧客の感情には波があるため、商品・サービスを購入した直後にアンケートを実施すると肯定的な回答が出やすく、それ以外のタイミングではそれほど肯定的な回答は出ないかもしれません。 NPSを測定する際は、アンケートをとる目的を明確にし、その目的にとってベストと思われるタイミングでアンケートを実施することが大切です。

数字別の評価がわからない

NPSは「推奨者・中立者・批判者」の3カテゴリに分類する方式のため、6点と1点のような数字の差異が評価に反映されません。つまり、6点でも1点でも同じ「批判者」として扱われ、スコアに影響します。 そのため、数値の内訳を個別に確認しないと、実際の顧客心理の違いを見落とす可能性があるでしょう。必要に応じて個別のスコア分析も行うことが重要です。

具体的な理由がわかりにくい

NPSの数値自体からは、なぜそのスコアになったのかという「理由」は読み取れません。 スコアを改善につなげるためには、自由記述欄やNPSに関連しない追加の設問を設けておくことが不可欠です。顧客の本音や背景を知ることで、より実用的なインサイトが得られ、戦略的な改善につなげることができます。

NPSを活用するポイント

NPSを活用するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。主なポイントは下記のとおりです。

回答しやすいアンケートにする

NPSを効果的に活用するには、顧客がスムーズに回答できるアンケートを作成する必要があります。答えやすいアンケートにすることで顧客は回答しやすくなり、経営に役立つデータが得られるからです。質問はシンプルかつわかりやすくし、直感で答えられる構成にしてください。 また、スマートフォンやパソコンのどちらからでも回答できる仕組みを整えると、顧客が回答しやすくなります。

一定のサンプル数を確保する

NPSを上手に活用するには、スコアをできるだけ正確に測定する必要があります。そのためには、一定のサンプル数を確保することが大切です。 400以上のサンプルがあれば、結果の誤差は5%程度だといわれています。さらに正確性を高めたい場合、2,000程度のサンプルを確保すると、誤差を2%程度に抑えられるとされています。

サイレントマジョリティの存在に留意する

NPSのスコアを活用する際は、アンケート回答者の中には一定数の「サイレントマジョリティ」が存在することに留意してください。サイレントマジョリティとは「積極的に発言しない多数派」を意味します。 アンケートの回答はそのまま受け止めず、意見はあるものの回答しない人がいると想定した上で、結果を分析することが大切です。

スコアを適切に改善のために活用する

NPSのスコアは改善のために活用してこそ有用です。NPSの意義は、スコアの算出ではなく、商品・サービスの課題を特定し、適切に改善していく点にあります。顧客の回答が改善のポイントと意識し、アンケート結果を細かく分析することで、批判者を推奨者に変える糸口が見つかるでしょう。

社内にも結果を共有する

NPS調査の結果は、経営陣から現場の担当者まで広く共有する必要があります。 社内の一部にしか共有されなければ、商品・サービスの課題に対する共通認識を持つことができません。課題を全社レベルで共有することで、初めて効果的な改善策を打てるようになり、顧客満足度を高めていけるでしょう。

NPSを効果的に活用し、ビジネス前進の力に

NPSは、顧客ロイヤルティを数値化し、経営に活用するための重要な指標です。NPSを効果的に活用すれば、商品・サービスの課題を解消して顧客との関係性を深め、企業の成長を加速させることができます。 NPSを企業成長につなげるカギは、スコアを分析して具体的な改善策を実行に移すこと、全社的な取り組みとして顧客体験の向上を目指すことにあります。NPSを効果的に活用し、ビジネスを前進させる力にしてください。

・NPSをどう活用すべきかわからない

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